早咲きの山桜 月を眺め、夜桜を愛でる
夜桜と月の約束
3月の風に揺れる山桜。その下で、ひとりの少女が月を見上げていた。「ねえ、月さん。私、大人になったら空を飛びたいの。」すると月がそっと囁いた。
「桜が満開の夜、風に願いをのせれば、きっと叶うよ。」
少女は目を閉じて願った。すると、桜の花びらが渦を巻き、ふわりと宙に舞い上がる。気づけば、少女は夜空を飛んでいた。月のそばまで来ると、月が微笑んだ。
「また来年、夜桜の下で会おう。」
桜の精と月のいたずら
夜桜の下で、小さな桜の精たちがひそひそ話していた。「今年も月さんが遊びに来るよ!」そこへ満月が顔をのぞかせた。「みんな、かくれんぼしよう!」
桜の精たちは花びらの影に隠れるが、月の光に透けてしまう。「見つかっちゃった!」月は大笑い。「じゃあ、今度は私が隠れる番!」次の瞬間、月は雲に隠れた。
桜の精たちは「まいったなあ」と笑いながら、また夜の宴を続けた。
旅人と夜桜の魔法
旅人は、ふと見つけた山桜の下でひと休みしていた。「見事な夜桜だ……」とつぶやくと、突然、桜の花びらが舞い上がり、彼の前に着物姿の美しい女性が現れた。
「あなたは?」と尋ねると、彼女は微笑む。「この桜を見に来た者には、一晩だけ月の国を見せてあげるの。」
旅人は、ふわりと宙に浮かび、月へと運ばれていった。翌朝、桜の木の下で目を覚ました彼の手には、桜色の小さな石が握られていた。
かぐや姫の手紙
夜桜を眺めていた少年の前に、一枚の桜の花びらがひらりと落ちてきた。よく見ると、そこには小さな文字が。「私はかぐや。月からこの桜を見ています。地球はどんなところ?」
少年は桜の花びらに返事を書き、風に乗せた。次の満月の夜、また新しい花びらが落ちてきた。「ありがとう。地球は素敵な場所ね。」少年はそれからも、夜桜の下で手紙を送り続けた。
夜桜と月のダンス
「ねえ、桜さん。今年も綺麗に咲いたね。」月が声をかけると、山桜は嬉しそうに枝を揺らした。「ありがとう、月さん。あなたの光があるから、私も輝けるの。」
月は少し照れたように微笑む。「じゃあ、一緒に踊ろう。」桜の花びらが風に舞い、月の光が優しく揺れる。夜空で繰り広げられる静かなダンス。
それを見ていた夜の風が、そっと囁いた。「春の夜は、なんて美しいんだろう。」