事務所恒例の吉野山ハイキング🚶‍♂️

楽しかった吉野山ハイキング 2025年4月18日 弁護士 川原俊明

2025年3月29日、春の陽気に誘われて、法律事務所の有志メンバーで奈良の吉野山(標高702メートル)へハイキングに出かけました。
吉野山といえば、やはり桜です。パンフレットには、山全体が桜色に染まる絶景写真が載っており、私たちもその満開の景色を楽しみにしていました。
しかし、実際に訪れてみると、時期はやや早く、桜の開花は全体の2割ほど。満開になるには、あと1週間から10日ほど先のようでした。
それでも、昨年の同じ時期には、たった一本しか咲いていなかったという話を聞いていたので、今年は各所に淡い桜色が広がり、春の息吹を感じることができました。


私たちは、世界遺産である金峯山寺に立ち寄ってから、「下千本」「中千本」「上千本」と呼ばれる吉野山のエリアを順に登っていきました。
金峯山寺の境内には歴史の重みを感じる木造の堂宇が佇み、奈良らしい厳かな雰囲気に包まれていました。
登山道の脇には苔むした石碑や小さなお地蔵さまが点在しており、かつてこの山を行き来した人々の足跡に思いを馳せながら、一歩一歩を大切に登っていきました。
途中、桜に見とれて脇道にそれてしまった同僚がいて、皆で大声で呼び戻したという、笑い話のようなエピソードもありました。


ようやく山頂にたどり着いたとき、私たちはほっと一息つきました。そして、道中で買った柿の葉寿司を広げて、全員で昼食をとりました。
柿の葉の香りがほのかに移った鯖寿司の味は、疲れた身体にじんわりと染み渡り、絶景を眺めながらの食事は格別でした。
眼下には奈良盆地が広がり、遠くの街並みと、ところどころ咲く桜の木々が、春の絵巻のように広がっていました。


そのとき、一人の同僚が万葉集の一節を口ずさみました。

「あをによし 奈良の都は 咲く花の にほふがごとく 今盛りなり」(小野老 作)


1300年前、奈良の都の繁栄ぶりを、咲き誇る花にたとえたこの歌は、今まさに吉野の山で私たちが感じていた情景と重なり、深く心に響きました。
満開ではなくとも、春の兆しに満ちたこの景色に、古人の感性が重なり合い、時を超えて感動を分かち合えたような気持ちになりました。


下山後に歩数計を見ると、この日歩いた歩数は24,000歩にのぼっていました。足はさすがに疲れていましたが、それ以上に心は満たされていました。
満開ではなくとも、春の吉野で感じた自然と歴史の調和、美しい景色、仲間との語らい――それらすべてが、何よりも豊かな時間となり、かけがえのない思い出として心に刻まれました。